現代アメリカの文化に詳しいわけでもなく、他の現代作家の作品を読み込んでいる わけでもなく、まったくの素人による読書感想文です。まあきちんとした批評は 探せばいくらでもあるでしょうから、そちらを参考にしてくださいな。 星印による評価もまったくの独断。星5つが最高です。
内容に触れるコメントについては
印のついたリンクの
先にあります。まだ読んでいない方は決して訪れないで下さい。
原作の出版年順に並んでいます。 邦題はわかる範囲で記載しています。 最近邦訳が出たものはフォロー出来ていないので、情報をお寄せ頂ければ 幸いです。
なお、キングは最近、この作品を自身の出版リストから外し、絶版とすることにしたそうです。 理由は、90年代に入ってから米国で多発しているSchool shooting。 「もし、万が一、ほんのわずかでもこの作品がSchool Shootingに影響を与えた 可能性があるのであれば、私はこの作品を世に出したままにはしておきたくない」
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にまとめてあります。
で。
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現実との接点を敢えて避けたことにより、 キングの魔法の一つである「ありそうもない話を描きながら、 現実の一つの断面を見せる」という力はこの作品にはありません。 それが弱味です。しかし、お話に徹することで、 物語の面白さというものを純粋に味わうことができる、とも言えます。 難しいことを考えずに、子供の頃、昔話に夢中になったように、 「お話」を楽しんでみるのも良いなあと思わせてくれる作品です。
設定や固有名詞は「ダークタワー」シリーズと重なる部分もありますが、 あまり直接的な関連は無いようです。
全体で3部構成で、それぞれが充分一本の長編になりそうな長大な 作品。第1部の、次第に致死的インフルエンザが社会に広まって行く 様子を様々な人物の個人的な視点から描いてゆく部分や、第2部の最後 にかけての鮮やかな話の展開は見事です。ただ、いかんせん長く、 途中で中だるみを感じたこともあり、実は第2部の途中でしばらく 読むのをやめていました。悪役の描写や結末にちょっと不満が 残ります。
トンデモな設定を強引に読ませてしまうのはキングの御家芸ですが、 ちょっと中盤ダレる感じがあり。そのせいで終り方もくどく感じられて しまいました。ただ、この作品は "The Dark Tower" シリーズに 関連するものがあります。そちらのシリーズが完結してから読み直すと また違ったふうに読めるかもしれません。
追記:絵画の向こうの世界は、Gunslingerの世界だそうです。 なるほど。
私はリアルタイムで読んでいて、毎月の発売を楽しみにしていたのですが、
最終巻の展開はまさしくショッキングで、興奮して眠れなかった程です。
詳しくはここ
に。
なお、この作品は聖書との関連が深いとされます。
そこでちょっと聖書を読んでみました
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恐いんだけど、何だかコミカル。笑えるけど、よく考えると恐い。 いかにもキングらしい短篇。最後の落とし方は、何と言うか、とってもB級です。
古典的ホラーの雰囲気ただよう作品。「ねじの回転」を思い出しました。 キングの作品で言うと、「シャイニング」の系統でしょうか。 夜中に読んでいると背中のへんがちりちりしてくる感じの恐さ。 舞台はキングファンにはおなじみ、メイン州のDerry ("It", "Insomnia") とDark Score Lake ("Gerald's Game") です。"Insomnia" の Ralph Roberts がゲスト出演。"The Dalk Half" の Thad Baumont、 Castle View County SheriffのPangbornやBannermanという懐かしい 名前もちらほら。
普通のエンターテインメントとして読んでも十分面白いこの作品ですが、 作家が主人公(しかも一人称の語り)という点に着目すると フィクションを書く意味をキングなりに問い詰めた作品と 見ることもできそうです。
魔術師Walterを追って一人旅をしていたRolandは、住民の死に絶えた町Eluriaで ちょっとした油断からミュータントに襲われ、気付くと白いテントの中で修道女達に 手当を受けていました。おぞましい方法で治療をする一方で、食事に麻痺薬を仕込む 修道女達の狙いは? 一気に読める短編。 「魔術師と水晶」のエピソードを知っていると、せつないものがあります。
なお、アンソロジー "Legends" は同名で何冊か出ているので、買うときは キングのが入っているかどうか確かめましょう。
目に見えている現実のそのすぐ裏側に、理性を拒絶する非現実が 潜んでいて、その境界は思っているよりずっと薄いものだ---キングの 作品に繰り返し現われているテーマの一つが、今回は実に単純な設定 を用いて明確に表現されます。いや、設定が単純だからこそ力強いのかも しれません。我々が享受している文明生活からちょっと路を外れれば、 そこには人に牙を剥く大自然がある、当然のようでいて、都市生活者が 忘れている事実。
そして、現代社会の子供に取って、聖杯はウォークマンであり
神は大リーグのピッチャーなのです。祈り、神、目に見えない力
(フォースと読んでくれい)、それらは空想でも気休めでもなく
実在するのだと、この「現実にありそうな物語」は教えてくれます。
ネタバレ有りのもちっと詳しい感想は
こちら
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なお本書は単独のハードカバーとして刊行されましたが、長さから言うと キングの普通の長編よりずっと短く、むしろDifferent Seasonsに収められて いるような "Novella" に近いです。Different Seasonsの収録作品は、 いずれも長編を書き上げた後にその余勢で書かれたそうですが、 ひょっとするとこの作品もそういったものかもしれません。著者後書きは 1999年2月になっていますが。 あ、それからCastle Rockもちらりと登場します。どうやらNeedful Things の後ちゃんと復興を遂げたようです。森の中で迷う子供、というのは "The Body" を彷彿とさせるし、"The Shining" を思い出させる 描写もあります。
1960年、大人への入口に立った少年期。1966年、理想と現実のギャップに 悩む青年期。1984年〜1999年。過去の意味を考える中年期。キング本人と 同じ年代の数人の主人公達が辿る運命が、5つの中短編に記されます。 キングの作品は常に何らかの形で「運命, `ka'」を扱ってきましたが、 それは多くの場合、超自然的な出来事を背景に描かれる人間の行動でした。 この作品では、背景にある運命は、1960年から1999年に至る社会そのものです。 多少はスーパーナチュラルな要素もありますが、むしろ「普通の小説」っぽい。 にもかかわらず、キングが繰り返し描いて来たテーマが、よりはっきりと 表れています。"Stand by me"、"It" にあった、子供の心と訣別する痛み。 "Pet Sematary"、"Bag of Bones" にあった、失うことのつらさ。 "The Green Mile" の、生きることと死ぬことの意味への問いかけ。 それらが凝縮された本作品中で、主人公達は心の底で希望を求め続けます。
人は決して過去から逃れられない。それは業苦でもあり、救済でもあります。
主人公達よりふたまわり下の私には、描かれる時代を直接体験として 呼び起こすことはできません。むしろ私は、この作品を通してその時代に 触れるのです。両親の世代さえまだ若く理想に熱くなっていた時代。 今、両親はやはり、この作品の主人公達のように過去に対峙しているのだろうかと、 そんなことまで考えてしまいます。
結末には賛否両論あるかもしれません。私はちょっと甘いなと感じましたが、 でも泣けてしまいました。それがキングの良いところでもあります。
3つの短編の内訳は次の通りです。2つはこのオーディオブック向けの書き下ろしで、 紙媒体では出版されていません。 (4/8/2002追記:この2編は短編集"Everything's Eventual"に収録 されました)
キングの文章っていうのは、やっぱり「語り」なんだなあ、ということを強く感じました。 短編の出来としては中庸だと思うのですよ。ところが、キングの語る言葉が紡ぐ 情景とストーリーには、聴く者をぐいと掴む力があります。全部で3時間半あるんで、 最初はちょっとだけ聴くつもりが、一気に最後まで聴いてしまいました。
キングの役者ぶりもなかなか良いです。「ゴーサムカフェ」の「イイイイイイイー」 はかなりイってしまっています。
メイン大学にいたAlanの元に、たった一人の肉親である母親が脳卒中で倒れた という知らせが入ります。たまたま車が壊れていたので、ヒッチハイクをする Alan。いつしか日が暮れて、不吉な月が空にかかり、そして次にやって来た 車の主は…
あっさりした短編ですが、テーマそのものはなかなかに重いです。 "Storm of the Century" や、 "Hearts in Altantis"中の"Low men in yellow coat" なんかで キングが追求したものに通じるかも。
このシステム、ネットの可能性を信じる者としては期待していたのですが、 残念ながら支払率が悪く、中止となってしまいました。
しかしファンの目からみると、むしろこの本はキングの原点を知り、 小説という表現形態へのキングの限りない愛を知ることができるという意味で 貴重な作品となっています。
全体はおおまかに4部に分かれています。キングが自分の半生を振り返って、 作家になってゆく上でのキーポイントとなった出来事を断片的に記す "C.V."、 ものを書く上での基礎的事項をまとめた "Toolbox"、 個々の作品に具体的に触れながら技法を解説してゆく "On Writing"、 そして、1999年にキングを襲った自動車事故とそれが持つ意味を振り返る "On Living: A Postscript"。 どれもファン必見の情報満載ですが、 それにも増して私の心を捉えたのは、 「書くこと」にキングが向かい合う時の誠実で真剣な姿勢でした。
魔法は何もないところからは生まれません。ごく基本的なこと、 例えばたくさん読み (キングは年間70-80冊フィクションを読むそうです)、 そして自分でたくさん書くこと。 自分の中から出て来るものに、自分を偽らずに向き合うこと。 常に技法を磨き続けること。 「才能」という言葉の下に無視されがちな、 そういう舞台裏の大切さを改めて教えてくれる作品だと思います。
Jonesy, Henry, Pete, Beaverの4人は子供の頃からの親友で、 大人になっても年に一回、故郷の山で狩りをすることだけは欠かさなかった。 しかし年を重ねるにつれ、少年の夢は現実の生活の前に色褪せてゆく。 中年にさしかかる頃には、4人ともすっかり生活に幻滅していた。 その冬、再開した4人は、悪夢のような事件に遭遇することになる。 人知を超えた敵に対抗できる唯一の武器は、4人の共通の秘密。 誰にも認められなかった、少年の日の、勇敢な行動だった。
キングにとって事故後に書いた初めての長編小説です。 事故後、初めてタイプライターの前に座ったとき、「どうやって書いたらいいのか わからなかった。まるで書き方を忘れてしまったようだった」というキングの回復期の 苦しみを反映するが如く、物語前半はややぎこちない感じがついてまわりました。 しかし後半からはキング本来の調子を取り戻し、最後には、初期のキングを思わせる、 不条理な状況を有無を言わさぬ筆力で読ませるという展開に目が離せなくなります。
また、この作品中には「トミーノッカーズ」「スタンド・バイ・ミー」、そして「IT」など、 いくつもの過去の作品がエコーのように響いています。 特に「IT」を読んでおくと良いかもしれません。
再びキングとストラウブのコンビによる、"Talisman" の続編。 Jack Sawyerは長じてLAPDの刑事となり、難事件を解決して名をあげますが、 31歳の若さで職を辞してWisconsinの小さな町に引っ込んでいます。 テリトリーでの冒険は記憶の底に埋もれてしまっています。 そこに、連続児童誘拐殺害事件が発生。 同時にJackは不思議なビジョンを見はじめます…
大いに期待して読みはじめたのですが、展開が遅い上に 描写に輝きが無く、 今に面白くなるかという期待だけで読み続けたらそのまま終わってしまいました。 人物描写も極一部を除き退屈です。何より、ぐっと引き込まれそうになる ところで一歩引くようなナラティブは、新しい効果を狙っているのかも しれませんが個人的にひどく興をそがれました。 ストーリーは、"Talisman" の続編というよりは例のシリーズの 分岐エピソードといった趣です。あの人とかあの場所とか出て来るし。
キング最新の短編集。過去にアンソロジーで発表されたものの他、 今まで紙媒体で出版されていなかったもの(オーディオブック "Blood and Smoke" 収録の "1408" と "In the Deathroom", 電子ブックのみの出版だった "Riding the Bullet" 等) も含んだ14編の短編が収録されています。 まえがきではキングの短編に対する思い入れが語られていて興味深いです。 ("Riding the Bullet" は電子ブック出版として商業的には成功だったが、 人々の関心の多くは物語そのものよりその出版形態にあるようだった… どんな形態を以てしても短編が消えて行く流れは止められないのか? とか。)
キングの語り口を味わえるなかなか良い作品が詰まっています。
ペンシルベニアの小さな街の警察署。その裏の倉庫に、 秘密が眠っている。署員達の間だけで処理され、20年以上守られて来た秘密。 警察官であった父を事故で亡くし、父の面影を追って 署に手伝いに来ていたNedに、今、それが語られる…
ハードカバーで350ページありますが、話のノリはキングの短篇のノリです。 ひとつのネタで引っ張るという。99年(事故より前)に、フロリダから NYへのドライブの途中に着想を得て2ヵ月で草稿を上げたそうです。 確かに、この作品には「勢い」があります。語りのペースは落ち着いて いるのですが、一つの着想が読者の想像を越えて展開してゆくのが 読んでいて楽しかったですね。
ストーリーとしては実はあまりたいしたことは無くて、 むしろそのせいで、キングの語りのうまさが際だっています。 署員達の会話の中から、彼らの人生が、人間関係が、 そして街の生活が浮かび上がってくるのです。 語りを楽しむ作品かと。