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今年もSIGGRAPH の展示会に出すんで、いつもの如く追い込みに入っている。 詰めの作業ってのは時間がかかるわりに進歩が目に見えにくいことが多いのがしんどいが、 そういう細かい仕上げが全体の印象に効いてくるのだ。たぶん。
一週間、日本(東京および宮崎)に帰っていた。今年の夏は暑いと聞いていたが想像以上であった。 日射しはハワイの方が強い。ハワイの暑さは太陽から圧迫される暑さだ。だから 日陰に入ればなんてことはない。東京の暑さは、熱気に呑み込まれる暑さだ。 どこにも逃れられない。都心よりも宮崎郊外の妻の実家の方が過ごしやすかったのは、 土が多いからだろうか。
今回帰ったのは、移民ビザの取得のためだ。 いわゆるグリーンカード(永住権)取得の最終プロセスである。 指定病院で健康診断を受けて、米国大使館で面接を受け、分厚い書類を受け取る。 それを米国入国の際に審査官に渡すと、パスポートにスタンプを押してくれる。 そのスタンプがtemporary green cardになる。ハンコひとつで身分が変わる。 本物のグリーンカード(今はピンク色なのだけれど)は後で送られて来るそうな。
「面接は、conservativeな恰好で。ジャケットとタイ着用のこと」と、 書類を用意してくれた弁護士に言われていたので、一年ぶりくらいにスーツを着た。 面接というから別室でやるのかと思ったら、窓口のカウンター越しである。 足元が見えないと知っていたら、わざわざ靴など持って帰らなかったものを。 面接そのものは、生年月日や職歴、米国での仕事の詳細などを聞かれただけで あっけなく終わった。
ハワイでのプレミア上映。内容については云々できる立場にないのでパス。 ただ、4年という歳月を費したプロジェクトが、ようやくゴールに達したという 区切りをつけるのに必要な儀式であろう。
米国内のプロダクションだけでも年間300本だかの映画が作られる陰で、 途中でキャンセルになるプロジェクトも多い。 CG映画だけでも、この4年間に途中でキャンセルされた話をいくつも聞いた。 力を注いで作ったものが表に出ないということはこの業界珍しいことじゃないが、 やっぱり作ったからには結果を出したい。 モノが出せてほっとした、というのが正直なところ。
「プログラミングを独習するには10年かかる」。よくぞ言ってくれました、という感じ。 プログラマでない人が、自分の仕事をちょいと楽にするために、 「7日でできるなんとか」系のガイド本を片手にコーディングすること自体は別に問題ではないと思うし、 独習で優れたプログラムを生み出しているプログラマがいるのも確かだ。 ただ、日曜大工で作る家具と指物師が作る家具がやっぱり違うように、 プログラミングにもアマチュアの仕事とプロ仕事の差ってのはある。 そこが軽視されてるんじゃないか、と思うことが時々ある。
確かに、プロに頼めばコストがかかる。業務システムを作るんだったら、発注だの 仕様の打ち合せだの面倒くさい。 自分のところで、誰か詳しそうな人をつかまえてやってもらっちゃったほうが手っ取り早い。 実際、日曜プログラミングでもとりあえず動くところまで作るのは難しいことではないだろう。
問題はその先だ。「動く」プログラムと「使える」プログラムの間には大きな大きな溝がある。 テストは十分か。想定しない入力が入って来た場合にちゃんと対応できるか。 データ量が100倍になっても大丈夫か。夜中に落ちたら誰が誰に連絡を取るか。 バグが出た場合に誰が責任を持って検証と修正を行うか。機能追加の際に誰がいつやるか。 新しい人が入って来た時も簡単に使えるか。誰かにメンテナンスを引き継ぐことが簡単にできるか。 3年後にハードウェアをアップグレードすることになったら移行は簡単か。 これらのことは、プログラムを「動かす」だけ、自分の仕事に使うだけなら気にしないで良いことだけど、 プログラムを業務の中で「使ってゆく」には、実はプログラム本体を書くよりも大事なことだったりする。 で、そういうことをちゃんとやるには、時間的にも金銭的にもコストがかかる。
動けば良いと思っている人には、そのコストは無駄なように見えるだろう。 そこで節約したつもりが、後で何倍にもなって帰って来ることがある、 ということはもっと知られるべきじゃなかろうか。
(プロとアマチュアと書いたが、個人の能力の区別よりも、むしろ仕事をする上での 覚悟の問題かもしれない。普段仕事でプログラムを書いている人でも、空き時間に 自分の趣味のプログラムを書く時はやっぱりアマチュア的な、プログラムそのものを 動かすことに喜びを感じて作る場合が多かろう。)
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Shiro Kawai